一九六八〜六九年中大闘争 |
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中央大学全学闘争委員会 |
− 中大闘争の現局面と我々の獲得した位相 プロローグ 十二月一四日、我々が「常置委員会闘争」に突入して以来、早や五カ月日を迎えた。しかし、その五カ月目を、逆バリケード、即ち国家権力と学校当局による不当なロック・アウトという情況のなかで迎えたことを、我々はある種の侮蔑と憤懣をもって直視しなければならない。また、我々の力がいまだブルジョアどもの力に及ばないことも……。そして、その力は七〇年安保に至る巨大な波とともに再びわき起るであろうことを、はじめに全ての諸君の前に明言しておかねばならない。 背 景 我々が闘い抜いている「常置委体制」粉砕闘争とは、昨年学費闘争に敗北した中大ブルジョアジーが深刻な総括を行なった後、自民党素心会保利・永山一派を中心により強固なブルジョア政治委員会として再生し、評議員会内に「常置委員会」を設け、学生会館運営費の凍結や学生運動の弾圧をもって始めた権力再編に対する闘いである。このことは、当然にも佐藤帝国主義内閣が行なわんとしている東南アジア侵略に向けた国内の帝国主義的再編=社会分業体制の再編に対する闘いでもあることを意味する。 それを理解するために、我々はまず戦後世界体制とそのなかの日本の位置そのものの確認から始めなければならない。 戦後IMF−ヤルタ体制の下で再編強化された日本の金融独占資本主義は、今や国民総生産世界三位たる文字通りの帝国主義として再生した。日韓条約を経た後、日本帝国主義は市場獲得のための資本投下を軸にし東南アジアへと対外膨張してゆく。ドル危機による米国景気の鈍化傾向、流動的な国際通貨体制の間隙をぬって、八幡・富士の合併等重化学工業の再編成を主な骨子としつつ、GATT(貿易関税一般協定)の自由原則に基づいて、昨年来さかんに言われてきたASPAC(アジア太平洋閣僚会議)の経済機構化から、将来的には軍事機構化を志向することにより、アジアの盟主となっていこうとしている。 そうした彼らの国内の再編は、大衆に対する幻想性の付与による集約(マイホーム、三C等の消費文化の享楽と「国が富むことは全てが富むことだ」式の国益国防論)を中心としている。それは、プルジ ョアの「私的所有」(生産手段、交通形態の)を「疑似共同体所有」として顕わにしていく過程として表現される。その一環に我々が当面する「大学の帝国主義的再編」がある。 教育の総過程、なかんずく大学に対する帝国主義的再編は、上昇基調にのりつつこの際、一気に大学を効率のよい労働力商品の再生産工場に再構築していかんとするブルジョアジーの意図に基づいたものであり、個別教育資本の総資本への系列化として物質化されていく。我々は、東大闘争の最終過程で提出された政府・自民党の「大学院大学−目的別大学構想」をブルジョアジーの近代合理主義的理想形態と把えつつ、現在的意図を「なし崩し的大学の空洞化」から「支配イデオロギー注入」と見る必要があるだろう。 彼らにおける近代合理主義「大学院大学−目的別大学構想」とは、@高校→大学という教育課程の系列化、A集団化の推進と選抜制度の強化によるブルジョア・イデオローグの生産、B国家的大学管理の強化を軸としたものであり、教育の次元における社会分業体制の再編なのである。彼らは、そうしたものを現在的人民大衆の分解度に見合った形で着実に実行していく。自民党文教制度調査会の改革試案も中央教育審議会の答申も、現状を踏えた上で、将来的ピジョンとしてさりげなく、しかも武断をもってその政策の展開を行なった。教育大の筑波山麓移転問題も、その第一段階的試行なのである。 過去、教育二法、三法、大管法等による教育制度の改編を試みたブルジョアジーは、再度徹底した試みとして、この「試案」を示したと言える。資本の価値法則にのっとった彼らの意図は明白である。それは、大衆操作の集約的表現である「大衆社会化状況」のより一層の深化と、そこからえりすぐられる小ブル層の囲い込みと未来の支配者の養成である。大学院大学、それは純化されたブルジジョア・イデオロギーの生産場所なのであり、目的別大学とはより専門的知識と技術を身につけた労働力商品の再生産工場なのである。ここにみられる方向性は、機能のみならず実質的にも大学に位階を付与し、総体としてソーシャル・ヒエラルヒーに組み込まんとする意図によるものである。 今一度ブルジョアどもの論理を確認しておこう。「戦後、大学の大衆化の要請により、いわゆる総合大学が設置された。そして、学生数一五二万六千人に象徴されるごとく、大衆化による一定の労働力商品の知的水準はかち取られた。だが、教育として付与される内容は一般的で抽象的であるため、直接プルジョア生産機能の推進力たりえず、極めて非実践的である。社会分業体制の再編が着実に実行され、経済成長の促進から世界有数の地位にまでのし上り、今や対外膨張を自らの勢力圏の拡大として定着せんとしている現在、もう一歩高度の技術と専門的知識を有する労働力商品の生産を急がねばならない。そのためには、一般的教養しか付与しない現在の大学制度とそのマスプロ状況を解消し、労働力商品再生産の効率を高める心要がある」 こうして、彼らは大学の管理体制の強化ー自主規制の強化をねらい、中教審答申を経た現在では「大学学内秩序法」の提出までも意図し始めている。段階的発展の論理が、常に見せかけでも前向きのものでなければならぬように、ブルジョア・イデオロ−グとハイ・テクノクラートの生成に至る過程は、その布石としての大学内部における不穏分子の弾圧による地ならしでなければならない。そして、その後で前進が開始されるという訳だ。中大における「常置委員会」の設置もまたそれである。自民党素心会の丸ごと支配の警鐘は、学生運動の弾圧として始まった。 (略)・・・・ ロック・アウト後の我々の闘いは困難な局面にもかかわらず、三・六中教審答申粉砕文部省デモ、さらに三・二二東大集会を圧倒的大衆動員でかち取りつつ、四・一、四・五奪還闘争を闘い抜いていった。ぞして、学校当局がメンバーを一新するなかで行なわれた四・二〇「全学集会」に三千名の学友の結集し、闘いを形成している。 展望と我々の獲得すべきもの 「反帝統一戦線」に領導された「全国学園共闘」の結成を急ぎ、領域への闘いを開始せよ! 現在、二〇集会に失敗した学校当局は、動揺し、さらに分解している。高窪学生部長に代表される徹底的に国家暴力を用いて「全中闘」をせん滅すべきだとする部分と本質的問題の解決をなさないで弾圧だけ行なっても一切無意味だとする部分がそれである。この機を逸することなく我々のへゲニ−を貫徹しなければならない。そして五月授業再開阻止と再バリケード闘争を準備しなければならない。 この闘いの軸となるのは、我々が一貫して主張してきたごとく、「全国学園共闘」の創出であろう。 (略) 中央大学全学闘争委員会委員長代行 |
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