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増殖を続ける産軍複合体
(1968年)わなければ世界は取り返しが付かないことになる。

ハーバード大学生の反戦抗議
“死の商人”からの勧誘はお断り

                   
「朝日ジャーナル」1968年1月28日号
ジョージ・ロス

 昨秋、多くのアメリカの学園には、抗議する学生の嵐が吹きまくったが、それは戦争反対だけにとどまらなかった。
これらの抗議者の解釈によると、大学は軍事研究のため、または軍需契約を結んでいる会社の求人のため、学内施設の利用を許すことにようて、戦争機構と結託しているというのだ。
そして、この点を暴露することも、かれらの抗議のねらいだった。

 こういう空気のなかにあるとき、ナバーム弾を製造している会社ダウ・ケミカルの求人係リービット氏がハーバードにやってきた。

急進派のエリートたち
 アメリカ全土についてと同じように、ハーバード大学でも、戦争に反対する戦闘的“抵抗”の力強い潮がさしはじめていた。警官と体で対決する大規模な抗議は、昨秋はじめ、アメリカ全土にわたって展開されたが、ハーバード大学でもこのような“抵抗”戦術を支持するものが多数いた。「第一線に身をおく」−これは個人主義的抗議の一形態である。(中略)
 軍需生産に従事している会社の求人は言論の自由(ハーバード大学における市民的自由擁護の精神の根強さを考えるならば、これは重大な問題である)の行使ではないということ、さらにダウ会社の求人は
大学が戦争機構と結託することを意味するということ‥…・これらのことを他の多数の学生に理解させるために必要な努力は、それまでだれもしなかったという空気が支配的だった。こうして、リービット氏に対してピケを張ることは決定されたが、坐りこみは否決された。
 だが、SDSのよいところ一同時にこれは問題点であるが一の−つは、統制を欠いていることである。SDSは参加者の政治意識の発展段階がまちまちで、ワクはゆるく、党ではなくてグルーフである。このグループ内で討議されたことは、行動の手引きとはなるが、必ずしもそれを拘束するものではない。「第一線に身をおく」ことを望んだ学生たちは、SDSの決定にはばまれることがなかった。

自然発生の坐りこみ
 リービット氏が姿を現わす前夜、少数のグループが坐りこみをすることを決定した。翌朝、リ一ビット氏が申込みの受付けを開始すると、SDSの平和デモがはじまった。だが、ピケをはっていた人たちは、おたがいに話合っているうちに、もっと思いきった行動にでてはということになった。
 まもなく、そこにいあわせたほとんどの人たちのときは比較的小人数だった)は、その主張に引きいれられた。そしてこのグループは、リービット氏が面接を行うことを肉体的に不可能にすることに決めた。
 坐りこみが決定されると、新しい事態が生れた。「第一線に身をおく」ことは取返しのつかない行動である。それぞれ違った見解をもつ学生たちも、坐りこみデモに参加するものが増えた。挺身的な活動分子にとっては、選択の余地はほとんどなかった−すでにはじまづている坐りこみデモを支持することと、政治的戦略を理由に坐りこみデモの提案に反対することとは、別個のものである。はじめ坐りこみに反対した人たちも、坐りこみ参加者を支持しなければならないと感じた。
 だが、活動分子だけがこの坐りこみデモに参加したのではない。また数のうえからいっても、かれらがいちばん多かったわけでもない。坐りこみデモがはじまったという話が広まるにつれ、多数の学生が、この戦争に抗議したい気持からデモのなかに入ってきた。これらの学生の多くはベトナムでの虐殺については強い反発を感じていたが、自分たちのいる大学がこれと結託しているという点については、はるかにあやふやな気持しかもてない人たちだった。

 坐りこむものが増えてゆくにつれ、デモ参加グループ内の対立が現れて、リービット氏をなぜ一室にとじこめておくのか、はっきりした理由について、意見をまとめることができなかった。
 結局デモ参加列レーフは、デモの焦点はダウ会社と戦争であることを多数決で決め、さらにリービソト氏が、求人のため二度とハーバード大学へこないというなら釈放するということにきめた。
 困惑した大学当局
 ところがデモ代表者がリービット氏と話合った結果、かれが次のような考え方をしているのが明らかとなった。「自分は大学当局に呼ばれないかぎり、二度と大学にはこない。私がハーバ−ド大学にきたのは自分の責任ではなく、私に施設の利用を申出た大学当局の責任である。
 こんなわけで、デモ参加者自身も、最後には、 リ一ビット氏を軟禁しておくより、大学当局と対決したはうがはるかに筋の通っているということに気づくようになった。
  学生には、ダウ会社のナパーム弾製造を阻止する力はないが、大学当局のダウ会社歓迎を阻止する力はあるかもしれないのだ。こうして、リービト氏はついに釈放された。ついで座りこみデモ参加者約500人は、デモについて2時間にわたる討議に入り、表決の結果、ダウ会社、中央情報局(CIA)、軍部の求人を拒否すること、デモ参加者を一人も処罰しないことを大学当局に要求することになった。