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第8回国際半導体会議

日本物理学会臨時総会

66年 ベトナム反戦闘争や学園闘争の高揚の中で、学生、院生、教師達は学問研究の内実や主体のあり方を厳しく自問し、他者に対しても、実践を媒介に同じ問いを提起した。山本をはじめ若い物理学徒達はその先陣を切った。初舞台は日本物理学会臨時総会であった。

 日本物理学会主催、日本学術会議後援「第8回国際半導体会議」に際して、米国陸軍極東研究開発局の資金が持込まれたことに対する厳しい理事会批判を行った。その結果、総会は「日本物理学会は今後内外を問わず、一切の軍隊からの援助、その他一切の協力関係をもたない」(賛成1927、反対777、棄権639、無効57)を決議した。この決議は、日本物理学会が歴史に刻んだ不滅の功績というべきである。この決議は、その後1995年までの28年間にわたって日本物理学会総会のプログラム第1ページに掲げられた。山本はこの総会で、小出昭一郎(27−)、水戸巌(33−86)、槌田敦(33−)等とともに、中心的な役割を演じた。後に、山本は以下引用するような論文を雑誌に掲載して、この物理学会において演じた歴史的功績が、明確な論理的根拠と確信に裏打ちされていたことを跡付けている。

 「デモから帰ると平和な研究室があり、研究できるというのはたまらない欺瞞である。研究室と街頭の亀裂は両者を往復しても埋められない。では研究をやめるべきか。それは矛盾の止揚ではなく、矛盾からの逃避ではないか。徹底した批判的原理に基づいて自己の日常的存在を検証し、普遍的な認識に立ち返る努力をすること。そうして得られた認識に従って、社会に寄生し、労働者階級に敵対している自己を否定し、そこから社会的変革を実践する。」(「攻撃的知性の復権」『朝日ジャーナル』69年3月2日)。


         
第061回国会 本会議 第64号
昭和四十四年七月二十四日(木曜日)

沖繩における毒ガス事件に関する緊急質問
  (楢崎弥之助君提出)
 沖繩におけるVX致死性ガス貯蔵に関する緊急質問(永末英一君提出)
 米軍の沖繩におけるVX毒ガス事件ならびに岐阜におけるミサイル事故に関する緊急質問(渡部一郎君提出)
○西岡武夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、楢崎弥之助君提出、沖繩における毒ガス事件に関する緊急質問、永末英一君提出、沖繩におけるVX致死性ガス貯蔵に関する緊急質問、及び渡部一郎君提出、米軍の沖繩におけるVX毒ガス事件ならびに岐阜におけるミサイル事故に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
○議長(松田竹千代君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松田竹千代君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 まず、楢崎弥之助君提出、沖繩における毒ガス事件に関する緊急質問を許可いたします。楢崎弥之助君。
    〔楢崎弥之助君登壇〕
○楢崎弥之助君 アポロ11号計画によれば、月着陸に成功して、地球上に帰った三宇宙飛行士は、月の放射能や細菌の侵入を防ぐために、地球帰還後もなお相当の時間完全に隔離されるということであります。月からの放射能、細菌の侵入には、これほどまでの細心な注意を払う米国が、一方においては、毒ガスや細菌兵器をこっそりと他国に配置し、あるいはベトナムで実際に使って焼き尽くし、殺し尽くし、破壊し尽くすという、人道と正義にまっこうから挑戦するこの驚くべき米国の二つの姿に対し、私たちは、一体これをどう理解すればよいのか、戸惑いと憤りを感ずるのは、ひとり私のみではないと思うのであります。
 以下、私は、日本社会党を代表し、去る八日の沖繩における米軍毒ガス事故に関し、その真相を究明して、米国の犯罪的行為を告発し、政府の所信と対策をたださんとするものであります。(拍手)
 今回の事故が、ときあたかもCB兵器の脅威と残虐について、ウ・タント国連報告が公表され、ジュネーブ二十カ国軍縮委員会がこのCBR兵器禁止問題を論議している、まさにそのさ中に起こされた点で、沖繩、日本本土はもちろんのこと、全世界に大きな衝撃を与えたのであります。しかも、かかる重大問題の事実関係をいまもなお十分明らかにせず、ひた隠しにしようとする米国政府の態度に、米国自身の報道関係が反発し、議会筋でも真相究明に乗り出す動きが出てきたことは、けだし当然のことであると思います。
 穀物のより豊かな実りを願って行なった除草剤や殺虫剤の研究、そして人々を伝染病から救うために行なった微生物の研究が、いつの間にやら毒薬、毒ガス等の化学兵器、病原体をばらまく生物兵器に姿を変えて人類に挑戦しているこの現状を、私たちはもはや黙過することはできないのであります。(拍手)私たちは、いまこそ平和憲法の精神を高く掲げて、ベトナムで使用されておる米軍の毒薬、毒ガスの実態を正しくとらえ、これが核時代に果たしつつある役割り及び近い将来に起こり得る決定的な危険性を考え、さらに米軍の毒薬、毒ガス作戦に加担しているわが国の実態を克明に調査し、その基礎になっておる日米安保条約が、日本の平和と国民の生活に与える影響の深さと脅威について正しい認識を持つことが、いまほど要求されておる時期はないと思うのであります。(拍手)
 まず、沖繩の毒ガス撤去に関する二十二日のペンタゴン発表から分析してまいりたいと思います。
 問題のGBガスは、神経ガス、いわゆるGガス系のサリンであります。Gガスでは、ほかにタブン、ソマンがあり、VXも神経性ガスであります。いずれも農薬と同じ有機燐酸化合物であります。このGガスは、一九三〇年代に農薬用としてドイツで開発され、ヒトラーがこれを対人用の兵器として改良を加えたものであります。アウシュビッツでユダヤ人大量殺人に使用されたことは、あまりにも有名であります。一九六五年六月の米国議会における証言では、サリンGBは、一般市民を攻撃した場合、核兵器よりも効果が大きく、どんな深い防空ごうでもサリンの前には無力であり、サリンを防空ごうに入れないためのフィルターは、まだ考え出されていないことが明らかにされております。なお、この議会証言では、爆撃機一機に約七トンのサリンを積んで落とした場合、その威力と被害は、二十メガトンの水爆が落とされた場合にほぼ匹敵するといっております。
 今回の事故は、まさしくこのGBサリンによるものであります。しかし、ペンタゴンの発表では、GB以外に、はたしてどのような毒ガス兵器が沖繩にあるのか明らかにされておりません。しかし、発表文の前文においては、沖繩への持ち込み決定は一九六一年と六三年になされたとなっております。ところが、米国がベトナムで毒ガスを使い出したのは、一九六一年八月のステーリー・テーラーと呼ばれる特殊戦争計画の実施からであります。いま、ここに事実を幾つかあげてみたいと思います。

 一九六一年十一月二十七日付ニューズウイークによれば、米軍の化学薬品は田畑を枯らし、反逆地帯のあらゆる作物を根こそぎ破壊する。一九六二年一月二十二日、ニューヨーク・タイムズによれば、米軍は植物を枯らす化学薬品を大量に散布した。一九六二年三月二十四日付AFP電によれば、南ベトナムのアメリカ軍は、ジャングルの木の葉を落し、ゲリラをさらけ出す兵器を実験したということが、それぞれ報道され、一九六三年三月九日、ペンタゴン・スポークスマンは、この枯れ葉作戦に使用された薬品が二四D、二四五Tと呼ばれる除草剤であることを明らかにしたのであります。
 このように、米軍が一九六一年の暮れから化学兵器の使用をベトナムで始めていることを見れば、すでに沖繩には、ペンタゴン発表のとおり、一九六一年から枯れ葉剤などを含むこの種化学兵器が持ち込まれていたと思わざるを得ないのであります。沖繩における今日までの数々のえたいの知れない人身被害も、その原因は、結局各種CBRによるものであることは、いまやまぎれもない事実となったのであります。(拍手)また、今回の発表の際、ヘンキン・ペンタゴン・スポークスマンは、海外のどこにも生物兵器が貯蔵されていないことは、はっきり言えると述べております。しかしながら、屋良・カーペンター会談では、カーペンター民政官は、生物兵器も沖繩にあることをにおわせているのであります。ここにも今回のペンタゴン発表の虚偽があります。

 昨年五月の米軍記念日に、米側が初めて公表したところによりますと、沖繩のCBR部隊は、本島中部の陸軍第二兵たん部隊であり、その直属として、本島中部ズケラン基地より、最近知花弾薬庫地域に本部を移した第二百六十七化学中隊、辺野古弾薬庫地域の第百三十七武器中隊、現在グアム島に派遣されているズケランの第五百十五兵器中隊で構成されていることが明らかにされたのであります。毒ガスや細菌は、嘉手納基地に近いこの知花弾薬庫と辺野古弾薬庫に貯蔵され、その管理にこれら三つの中隊が当たっていると見られるのであります。また、このほか、一九六五年九月に設立された後方支援部隊フォート・バクナー司令部のもとに、CBR訓練学校がごく最近まで中部のキャンプ・クエに置かれていましたし、また、中部の米陸軍病院にはCBR病棟があって、今回の発表による入院患者は、おそらくここで手当てを受けたものと見られるのであります。
 今回の発表を見ましても、CB兵器の中のどれが撤去されるのか、また、いつどのような方法で撤去されるのか、さらに、先ほど明らかにしましたとおり、がんじょうにして、かつ広大な地域にわたって構築されている一連のCBR関係施設及びCBR部隊編成は一体どうなるのか、すべては不明のままであります。これでは幾ら撤去するするといわれてみましても、沖繩同胞や私たちの不安は決して解消されないのであります。まず、これら不明の点についての究明を、一体具体的にこれからどうされようとするのか、総理のお考えをお伺いしたいのであります。

 次に、非核三原則との関係についてお伺いをいたしたいと存じます。
 佐藤内閣は、核、すなわちRについては、つくらず、持たず、持ち込まずの非核三原則を提唱されておりますが、国際法規でも禁止され、しかも、核よりも脅威、被害の大きいこの化学・生物兵器についても、当然つくらず、持たず、持ち込まずの三原則を適用し、非CBR三原則をこの際打ち立てるべきではないか、総理のお考えをお示し願いたいのであります。(拍手)
 次に、CB兵器の抑止力について、総理はどう考えておられるかであります。
 四十年一月の佐藤・ジョンソン共同コミュニケでは、米国は日本に対する外部からのいかなる武力攻撃に対しても、安保条約によって日本を防衛するということになっております。従来の総理答弁では、いかなる武力攻撃の中に核攻撃も含む、したがって、それがアメリカの核反撃の保証であるし、安保条約の目的はこのアメリカの核抑止力そのものだ、そこまで総理は極言をされたのであります。昨日の外務委員会における愛知外相、東郷アメリカ局長の答弁では、いかなる武力攻撃の中にはCB兵器による攻撃も当然に含まれるということでありますから、もしそうであれば、核兵器の場合の論理と同じように、CB兵器攻撃についてもアメリカのCB兵器抑止力にたよるということになるわけでありますが、この点どういうお考えか、明らかにしていただきたいと思います。

 四番目に、CB兵器と事前協議の関係についてお伺いをいたします。
 本来、CB兵器は、核兵器にまさるとも劣らない人道と正義にもとる殺人兵器でありますから、これは法以前の人道上の問題であり、アメリカといえども決して持ってはならないのであります。とすれば、CB兵器を安保条約の事前協議の議題にするとかしないとか、そういった議論というものは、もともと起こり得るはずがないのであります。まさに、このことは事前協議以前の問題でありましょう。しかし、米国は、この人道と正義と国際法規に公然と反逆をしてそれを持ち、それを使い、私たちが知らざる間に沖繩にも配置しているという事実を前にいたしましては、CB兵器を持ち込ませないという保証を何らかの形で鮮明にする必要が現実問題としてはあり得るのであります。(拍手)その保証は、もちろん、日米双方が、まずCB兵器禁止に対する国際法の締約国になることを前提にいたしまして、日本としては非CBR三原則を内外に宣言し、持ち込みについては当然事前協議の議題として、それを拒否する態度を明確にする必要があると思うのでありますが、この点いかがでありましょうか。これは重大な問題でありますから、はっきりとお答えをいただきたいと存じます。
 第五番目に、ウ・タント国連事務総長は、CB兵器に対する国連報告書に基づき、日本を含む主要な国々にCB兵器禁止の協力要請をしているわけでありますが、もちろん、日本にもその要請があっております。総理はこれを一体支持されるのかどうか。一九二五年のジュネーブ議定書、あるいは現在開かれておる軍縮委員会における英国提案に対する態度も含めて、この際明らかにしていただきたいのであります。

 なお、ウ・タント提案では、催涙性ガスの死亡例まで引用して、禁止には催涙ガスも含めるべきであることを特に強調しておりますが、現に、警察機動隊、自衛隊で保有し、使用しているCN、クロルアセトフェノン、あるいはCNS、クロルアセトフェノン液については、ウ・タント提案との関連においてどう考えておられるのか、この際特にお伺いしておきたいと思います。この点については、ウ・タント報告の執筆者の一人であり、今度ジュネーブ軍縮委員会の日本代表顧問となられました川喜多教授も、CNは明らかに化学兵器であり、当然禁止の対象にすべきであると主張されておる事実を、この際つけ加えておきたいと存じます。
 このCNと国際法規との関係をどう理解されておられるか、外務大臣並びに国家公安委員長のお答えも、あわせお聞きしておきたいと存じます。

 次に、CB兵器が日本にないという保証はどこにもないのであります。現に神奈川県相模原市には、有名な米陸軍医療本部第四百六部隊医学研究所があって、しばしば四百六細菌戦部隊の名でマスコミの中にも登場しているところであります。この四百六部隊と関連して注目しなければならないのが、同部隊研究所とキャンプ座間にある米陸軍極東研究開発局とが、日本全国の大学や研究機関と黒い関係にあるという事実であります。さらに、埼玉県朝霞基地にはアメリカ陸軍技術本部化学課と称する研究施設が置かれております。この施設の原名がUSアーミー・ケミカル・テクニカル・リサーチ、すなわち、アメリカ陸軍化学戦部隊技術研究所となっているところから見ましても、これがアメリカの化学戦、細菌戦準備の本拠であるフォートデトリックの研究所、つまりアメリカ陸軍化学戦部隊生物戦研究所と並ぶ位置にあるものであり、おそらく四百六部隊以上に、より直接的に実戦に参加しているものと考えられるのであります。これら日本国内における米軍のCBR研究機関とCBR部隊について、総理はどのようなお考えを持っておられるか、この点もお伺いしておきたいと存じます。

 なお、昨日外務委員会で取り上げました大牟田の三井東圧化学工場における枯れ葉剤二四五TCPの被害状況、及びこの種化学用兵器薬剤製造に対する規制というものはないのであろうか、この問題について、厚生大臣より御報告とお考えをお伺いしておきたいと存じます。
 最後に、防衛庁長官にお伺いをいたします。
 まず第一番に、米軍現有のCB兵器について説明をしていただきたい。
 二番目に、三次防におけるCBR兵器の技術研究開発計画のうち、特に、ここではエロゾル散布機についてお伺いをしたいのであります。
 エロゾルの散布機というものは、たとえば、たばこの煙や大都市の上空にしばしば発生するスモッグのように、こまかい微粒子が安定な状態で空中に散らばり、漂っているもので、噴霧機によって普通つくられる。このような装置を用いて病原体の粒子をこまかく空中散布、すなわち、エロゾル散布すると、普通の場合には、人間に吸い込まれても鼻やのどにとどまったはずのものが、肺の一番奥まで到達し、感染効果や死亡率をぐんと高めるということが明らかになっておるのであります。そして、いまやエロゾル散布によって気道を経て肺に感染させる方法は、あらゆる兵器についてその効力を高める最も一般的な方法となった感があります。人は呼吸をとめるわけにいかないし、普通のガーゼやマスクなどでは、このエロゾルのこまかい粒子の通過を防ぐことはできません。このことを考えるだけでも、この方法がいかにおそるべき可能性を秘めたものであるかがわかります。このようなエロゾル散布の威力は、病原体をばらまくときだけでなく、毒薬、毒ガス、特に神経ガスをばらまくときにあらわれるのであります。実際、アメリカ陸軍ではある種の螢光物質のエロゾルを大量に散布する実験も行なわれており、これは、わが国でいえば近畿、東海、南関東全域をすっぽり包み込んでしまうほどの、八万七千平方キロという広い範囲に広がったと報告されておるのであります。このエロゾルの散布機というものは、これは防御用ではありません。明らかにCBR、攻撃用の兵器であります。ところが、自衛隊の第三次の技術研究開発計画によりますと、このエロゾル散布機を開発研究することになっておるのであります。これは私は実に重大な事実であると思います。この問題は、すでに昨年の予算委員会において取り上げましたミサイル問題と同じように、ひそかに、国民が知らざる間につくられておる事実がある。そして別件の化学器材を含めて、その三次防における予算は九千百万円になっておるのであります。この事実について、防衛庁長官の明確な御答弁をお願いしたいのであります。
 次に、直接の問題ではありませんが、自衛隊の海底軍事利用について、この際お伺いをしておきたい。

 それは、現に軍縮委員会で朝海代表が海底の軍事利用の問題に触れられた演説をされております。その中で、日本は沿岸国であるから、海底の軍事利用禁止の条約についてはにわかに賛成できないという演説をされております。その事実は何によって起こったのであろうか。自衛隊は、現在海底の軍事利用についてすでにそれを行なっておるのではないか。すなわち、自衛隊がひそかに開発したといわれるLQ03というこの海底聴音機は、いま私はここではっきり申し上げませんけれども、すでに津軽海峡の方面と佐世保沖の方面に置かれておるという事実がある。この点を明確にしていただきたいと存じます。
 四番目に、岐阜においてせんだって米軍がスパロー・ミサイルを落下したのであります。この事実は、私は重大であろうと思います。なぜならば、この弾薬を、陸上あるいは海上、トラックなり汽車で運ぶときには非常な規制をしておるのであります。ところが、せんだっての事件は、空中で実弾が、政府が知らざる間にひそかに運ばれておる、自由に日本の上空を飛んでおるという事実、これは私は黙過できないと思うのです。この点について、私は現在の被害救済の状況ともからめて、防衛庁の明確なる態度を御説明いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、現在ジュネーブで軍縮委員会が開かれております。昨日、保利官房長官は、このCBRの、特にCBの禁止の問題について、日本は積極的にこれを提唱していきたいということを言われております。しかし、日本自体がきれいな身でないと、その説得力には迫力がありません。その説得力のかげりは一体何であるか。それはまず第一番に、一九二五年のジュネーブ議定書に批准をしていないという事実、二番目に、ウ・タント報告でもいわれているとおり、化学兵器であるCN、クロルアセトフェノンを実際に機動隊なり自衛隊が持っておって使っておるという事実、三番目に、昨日も明らかにしましたとおり、日本の国内で毒ガスに匹敵するものがつくられておるという事実、これらの事実を考えるときに、私はこの際……
○議長(松田竹千代君) 楢崎君、申し合わせの時間が参りました。簡単に願います。
○楢崎弥之助君(続) 日本自体がきれいな身になってこそ、初めて説得力があるという点をつけ加えまして、質問を終わる次第であります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 楢崎君にお答えいたします。
 沖繩からの致死性ガスを含む化学兵器の撤去につきましては、すでに米国防省が公表しているとおりであります。撤去の状況等につきましては、今後の推移を注意深く見守っていきたい、かように思います。
 また、日本本土におけるCBR施設につきまして、どう考えるかとのお尋ねがありました。この点は、すでに米国政府が明言しているとおり、政府は、これらの生物・化学兵器が現在持ち込まれていないし、将来持ち込まれることもないと確信しておりますので、特に問題はないと考えております。しかし、いろいろ御注意もありましたように、わが国民の安全確保のために、いままでも注意してまいりましたが、一そうこの上ともこの点については十分の注意を払っていくつもりでございます。
 政府は、今回のこの毒ガス問題が初めて新聞に報道された直後、米政府に対して、沖繩にもし大量破壊を目的とする化学兵器が配置されているとすれば、これらの兵器は撤去されるべきであるとの申し入れを行なったのでありますが、今回の米政府のすみやかなる措置は妥当なものであり、これを歓迎するものであります。
 毒ガス及び細菌兵器に対する政府の基本的な態度は、去る七月三日、ジュネーブの軍縮委員会における朝海代表の発言でおわかりのとおり、この種の兵器使用の可能性をなくすため、進んでその開発及び製造を禁止し、すでに貯蔵されているものをも破棄しなければならないとするものであります。したがって、この方向で今後さらに国際世論を啓発しなければならないと、かように考えております。しかしながら、この問題は、交渉当事者が互いに人間の深層心理にまで立ち入るほどの国際間の接触を積み重ねなければ、実現を期しがたい問題であると考えております。
 福崎君は、非核三原則に加えて非CBR三原則を確立せよとの御提案でありますが、私は、むしろわが国が軍縮委員会に参加するこの機会に、このような国際的な重要問題について解決へのじみちな努力を積み重ねることによって、平和に徹するわが国への認識を深め、かつわが国の主張が真に世界の恒久平和に資するものであるとの理解を得ることが大事であると、かように私は考えております。(拍手)
 次に、抑止力としてCB兵器を認めるつもりかとのお尋ねでありますが、化学・生物兵器が戦争の抑止力となるというような考え方には、私は全然同意できません。米ソ二大国をはじめ、軍備を持つ世界の主要国が、過去の惰性から、いまだに生物・化学兵器の研究開発を行なっていることは明らかでありますが、私は、いずれの国の生物・化学兵器も戦争の抑止力となっているとは考えないし、また客観的に見ても、抑止力となり得るものではありません。いずれの時代におきましても、軍備を行なう場合、目には目を、歯には歯をという心理が働いてとどまるところを知らないというのが常でありますが、米国政府が今回沖繩におけるCB兵器の配備を認め、かつその撤去を公表したことによって、今後の国際政治に一つの転機をもたらすことを期待しているものでございます。(発言する者あり)おとなしく聞いてください。
 CB兵器の事前協議についてのお尋ねであります。生物・化学兵器を事前協議の対象とすべきかどうかにつきましては、参議院でもお答えしたとおり、軍縮委員会を中心とする化学兵器規制に関する国際的な動きやその他の情勢を見ながら、今後検討してまいりたいと考えております。御承知のとおり、安保条約では化学兵器の持ち込みは事前協議の対象とみなされておりません。米国政府は、現在もまた将来も、これらの兵器を日本に持ち込む意思のないことを明らかにしておりますから問題はありませんが、軍縮委員会における英国の提案の推移等をも見守りながら、さらにわが国の立場を明らかにしていく考えでございます。したがいまして、要すれば、さらに日米両国間におきましても、これらの問題について協議を必要とする、かような結論が出ることもある、かように御了承いただきたいと思います。
 ウ・タント国連事務総長が毒ガスを含むCB兵器の存在は国際平和を脅かし、緊張を高めるものとして、全国連加盟国に効果的な措置をとるよう呼びかけた、その趣旨には私も基本的に賛成であります。目下ジュネーブの軍縮委員会で中心議題として検討されているのも、まさにその点であります。一九二五年のジュネーブ議定書については、その後の科学の発達に伴い、これではカバーされない点もありますので、同議定書を補足する必要があると考えております。ただ、ウ・タント事務総長の提案は、現存し、または将来開発されるすべての化学・生物兵器の中に催涙ガスをも含めておりますが、各国における治安維持に必要なものもあるところ、軍縮委員会における論議を呼んでおります。
 いずれにいたしましても、政府としては、各国が同一歩調をとって、真に軍縮の効果をあげることが必要である、かように考えておりますので、これらの点を勘案しつつ、前向きの姿勢でこれに取り組みたい、かように考えております。
 その他の点につきましては、それぞれ担当大臣からお答えいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
○国務大臣(愛知揆一君) 私へのお尋ねは、去る七月二日のウ・タント国連事務総長報告に関連したお尋ねでございますが、これはただいま御質疑にもございましたように、わが国を含めて世界の十四カ国の専門家のグループが作成いたしたものであります。したがいまして、化学・生物兵器の影響等に関しまして、きわめて有益な科学的な分析を行なっておりまするし、また、きわめて示唆に富む要請を行なっております。たとえば、戦争のための生物・化学剤の開発、生産、貯蔵などに及びましての停止と廃棄のための協定作成などを勧告いたしておりますが、これらの点につきましては、政府としては、ただいま総理からもお答えがございましたように、同三日ジュネーブにおける朝海政府代表の演説に見られますごとく、わが国もこれに賛成でございまするし、むしろ積極的に、かような提案が実りがあるようにいたしたいものと考えております。
 同時に、このウ・タント報告は、科学的な分析が主となっておりまするので、従来から軍縮委員会の場で行なわれておりまする本件の具体的な審議の核心に触れる問題も含まれております。たとえば、この点がただいまお尋ねの焦点の問題と思いますが、化学剤の種類をいかように分類するか、こういう点も含まれておるわけでございまして、これらの点につきましては、十分各国の専門家等との間の協議も進めまして、軍縮委員会のいま申しましたような実りのある成り行きが生まれますように、この上とも政府としてはできるだけの努力をいたしたい。したがって、ただいまお尋ねのような具体的な事項につきましての最終的な政府の態度というものも、これらとあわせまして早急に固めてまいりたい、かように考える次第でございます。
 自余の点につきましては、私へのお尋ねは全部総理大臣がカバーしてくださいましたので、省略いたしたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣有田喜一君登壇〕
○国務大臣(有田喜一君) 本年の六月二十二日に米上院外交委員会が公表したといわれる資料によりますと、アメリカは、GB、VX、HD、BZ、CN、CS及びDMの七つの種類の化学剤を保有しておるといわれておりますが、わが日本におきましては、四百六部隊とか、あるいは朝霞の技術研究所でBC兵器でも開発しておるのじゃないかというようなお尋ねがありましたが、そういうものはやっておりませんということをはっきり申し上げます。
 なお、わが陸上自衛隊の化学学校におきまして、現有の放射機を催涙剤に利用する実験を行なったことはありますが、三次防技術研究開発計画にはエアロゾール散布機及び化学剤の噴霧機等の開発は計画されておりません。
 なお、自衛隊の海底利用の問題でありますが、四面海に囲まれた海洋国である日本の防衛のためには、わが国周辺の海域に行動する相手の潜水艦などの動静を把握する必要がありますので、防御のために、自衛隊において海底に水中探知装置等を装備するということは、これは当然と思います。(拍手)
 なお、海上自衛隊におきましては、海峡、港湾等の防衛のために水中機器を整備しておるのでありますが、お尋ねの水中固定聴音機LQ03についても国内の開発を完了しておりまして、これも装備しておるのでありますが、その具体的配備個所については、国益上答弁を差し控えたいと思います。
 また、過般のミサイル落下事件の問題でありますが、これは去る七月の十八日午前十時二十分過ぎに、アメリカの海軍岩国基地所属のF4Bファントム機が岩国から三沢に向けて飛行中に、電気系統の故障によりましてミサイル一個を岐阜県の下呂町、それから金山町、馬瀬村を結ぶ線内の山林と推定されますが、そこに落下したことはまことに遺憾に思います。本ミサイルにつきましては、爆発等の危険はないものと思われますが、防衛庁といたしましては、地元民の不安を解消するために、特に自衛隊をして捜査に協力せしめることといたしました。ヘリコプターを飛ばしたり、また落下地点と思われるところに、岐阜県知事からの依頼もありまして、いわゆるレンジャー部隊などを派遣しまして地上捜査に当たる、また一方、地元警察並びに消防団も捜査に当たっておられるのでありますが、何ぶんああいう森林地帯でありますので、現在のところはまだ見当たらないのであります。本日も日米合同委員会が開かれたのでありますが、その原因の究明と、今後さようなことを再び繰り返されては困るということを厳重に抗議いたしますとともに、今後コースを変えるとか、その他の方法によって、これが対策に対して、わが国の意向もいれ、日米合同委員会によって大いに検討して、事故の再び起こらないように善処するということで話を進めておる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣斎藤昇君登壇〕
○国務大臣(斎藤昇君) 三井東圧化学大牟田工業所において製造をしております二四五TCPは、御承知のとおり、除草剤である農薬の製造原料でございますが、この製造工程中におきまして、設備の故障によって、製造に従事している者三十数名が皮膚炎を起こしたという報告が労働省にあっておることは聞いておる次第でございます。昨日、外務委員会におきまして、楢崎君から厚生省に対して調査の御要望がございましたので、労働省と連絡をとりながら十分調査をいたしたい、かように考えておりますが、労働省におきましては、労働基準局において十分の監督をしておるものと、かように考えます。さらに十分調査をいかしてみたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 楢崎さんにお答え申し上げます。
 私に対するお尋ねは、警察も催涙ガスを使っておるようだが、それはいま問題になっております神経性の毒ガスその他、また、ウ・タント事務総長の勧告等との関連においてどんなものであり、どういうふうに考えておるかというようなお尋ねであったかと思います。御指摘のように、警察は、現に催涙ガスを持ち、かつ、使用いたしておりますことは御案内のごとくであります。ところで、警察が使っております催涙ガスは、万々御承知のとおり、クロルアセトフェノンといわれるものであり、また、CNとも呼ばれておることは御承知のごとくであります。これは、一時的に催涙させて、涙を流させて人の行動力を抑制する効果を有するというものでございまして、人体に後遺的障害を残すものではないという性質のものと心得ております。これは御指摘になりました、毒ガスの使用禁止に関する交戦法規としての国際条約で指摘しております毒ガスの中にはむろん入りません。
 また、ウ・タント事務総長の勧告そのものは、先ほど来お話が出ておりまして、お答えがございましたが、具体的にCNなどというものを含むかどうかは、まだはっきりいたさないと心得ておるのでありまして、現に、毒ガス禁止の交戦法規たる条約に加盟しております国々でも、たとえば英、米、仏、伊、豪州、カナダ等、十四カ国が警察装備としてCNを使っておるのでございまして、特別、毒ガスとしてたいへんな被害を与えるというものでないことは先刻申し上げたとおりであります。
 今後も、集団の暴力を制圧する手段としては、やむを得ないものとして使用していくつもりであります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(松田竹千代君) 次に、永末英一君提出、沖繩におけるVX致死性ガス貯蔵に関する緊急質問を許可いたします。永末英一君。
    〔永末英一君登壇〕
○永末英一君 私は、民社党を代表いたしまして、沖繩における毒ガス問題に関し、政府に緊急質問を行ないます。
 いま世界は、あげてアポロ11号による人間最初の月着陸の壮挙に対し、歓呼の声をあげています。
    〔議長退席、副議長着席〕
それは、このことが人類の進歩を意味するものだからであります。この限りにおいては、アメリカが人類の進歩に対して果たそうとしている善意をたれしも疑うものはないでありましょう。ところが、この一連の輝かしい歴史的事件の展開のさなか、突如としてアメリカの善意を全く疑わしめるどす黒い事実が暴露されました。それは、沖繩における毒ガス事件であります。(拍手)
 毒ガスは、核兵器にまさるとも劣らぬ非人道的兵器であります。第一次大戦における毒ガス使用の戦慄すべき残虐さは、これらの戦時使用を禁止すべきであるという一九二五年のジュネーブ議定書を作成せしめましたが、その成果が十分に実らぬままに現在に立ち至っております。この間隙を縫ってアメリカが毒ガス兵器を開発し、これをわが同胞の住む沖繩の地に保有し、しかも、日本側が全くこれに対し無知であったことは、われわれにとって憤激おくあたわないものといわなければなりません。(拍手)しかも、この事実が発表せられてから一週目にわたる間、政府の態度はまことに優柔不断、国民の生命を守る責任を忘れたかのように見受けられましたのは遺憾きわまりないことであります。(拍手)政府は、この際、毒ガスや細菌兵器に対する見解とアメリカに対する態度とを国民に対して明らかにすべきであると考え、私は、総理並びに関係閣僚に対し質問を行ないます。
 第一に、化学兵器、生物兵器に対する政府の基本的見解を伺いたいのであります。
 化学・生物兵器は、人間性に挑戦する悪魔の兵器であります。その本質は、相手に対する残忍な無差別攻撃にあります。したがって、わが国の防衛方針が、このような悪魔の兵器とは無縁のものであることを、まず第一に内外に明らかにする必要があると考えます。過日、防衛庁長官は、専守防御を政府の防衛方針としている旨私の質問に対して答えましたが、わが国防衛の最高責任者である総理の方針を、あらためて伺いたいのであります。
 総理は、この際、わが国防衛のため化学・生物兵器を使用せず、これを製造、保有しない意思を明確にせられたい。
 また、七月二十日、オズボーン米国公使は、アメリカが化学兵器を日本本土に配置していない旨を政府に伝えました。しかし、生物兵器は、どうなっているのか。生物兵器の存在しないことを政府は確信するというのであるならば、その確信の根拠は何であるかを国民に明らかにする必要があります。
 さらに、在日米軍基地に化学・生物兵器を持ち込むことを認めず、在日米軍にこれら兵器を使用する攻撃訓練を許さず、沖繩においても同様であることを、この際政府の方針として明確にせられたい。
 現行安保体制においては、アメリカのこれらの兵器の持ち込みを拒絶する道はほとんど全くありません。安保条約第六条の事前協議事項の対象にすべしという意見もありますが、自民党政府の事前協議事項に対する拒否権に対するあいまいな態度を考えますときに、まことに心もとないといわなければなりません。したがって、われわれはこの際政府に提案をいたしたい。政府は、アメリカに対して生物・化学兵器持ち込み禁止条約の締結をすべきであると考えますが、総理の見解はいかがであるか、お答えを願いたい。(拍手)
 化学・生物兵器の持ち込みを防ぐためには、安保条約を改定し、米軍基地をなくすることが一番であります。しかし、改定が行なわれるまで現行の地位協定を改定し、基地の貸与目的を明確にし、かつ、日本側に基地返還の権利を保有できるようにすべきであります。これらの点に関し、地位協定改定に関する政府の見解はどうか、伺いたい。(拍手)
 七月八日に沖繩で発生した事件は、十八日に明るみに出されました。これ以後一週間ほど経過いたしましたが、この間における政府の煮え切らぬ態度はきわめて遺憾でありました。総理は、アメリカに対し毒ガス撤去を申し入れたと言っておりますが、いつ、いかなる手続で撤去の申し入れを行なったか、明確に答弁をせられたいのであります。(拍手)
 さらに、沖繩にこのような致死性GBガスが貯蔵せられていたことに対して、アメリカ政府に対して抗議をしたことがあるかどうか、明らかにせられたい。
 また、米国時刻で二十二日午前、アメリカ政府は下田大使に対し、沖繩における毒ガス撤去に関する通報を行なったと伝えられておりますが、この通報を正確に本議場で報告せられたい。
 沖繩毒ガス事件についてわれわれが知り得るのは、米国国防総省が米国時刻二十二日正午に発表したものだけであります。この発表には幾多の不明な個所があります。わが国民、沖繩県民にとって、不明な諸点をこのままで見過すことは許されません。政府がこれらの諸点について国民に明らかにするのは政府の義務であります。明らかにし得ないならば、政府は怠慢のそしりを免れないものと考えます。この意味において、以下の諸点について、政府、特に外務大臣に明確な答弁をしていただきたいと存じます。
 第一、七月八日、事件発生の場所はどこなのか、沖繩住民の命の危険との関連において、具体的にぜひ明らかにせられたい。
 第二、GBガスの性能、人体に及ぼす毒性の性質、さらに、その兵器の形態、すなわちミサイル弾頭か、航空機用爆弾か、砲弾か、あるいはその他か、それぞれの分量は一体いかほどであるのか、答弁を要求いたします。
 第三、事件のとき、現場にかけつけた兵器部隊員といわれる者の所属は一体どこか。
 第四、いま現地に米国のメリーランド州エッジウッド教練場より来ている専門家のやっております毒性物質除去と処理とは、具体的に何をしているのか。漏れた毒性が対象なのか、それとも貯蔵されている毒ガスそのものを対象としておるのか、明らかにせられたい。
 第五、撤去される化学兵器は致死性化学剤のみか、それ以外の化学剤も含まれるのか、さらに、生物兵器もこれに含まれるのか、政府の見解を伺いたい。
 第六、毒ガス撤去の方法は一体どうなっておるのか、現物を沖繩の外に移送処分をするのか、現地で毒性中和処分が行なわれるのか。米陸軍が十八日発表したところによると、液体神経ガス房状爆弾二万一千個以上をコロラド州デンバーのロッキー・マウンテン兵器廠で廃棄処分する場合、一年半ないし二年半かかると伝えられております。したがって、撤去の時期は重要なポイントであります。撤去の時期の見通しについて明らかにせられたい。また、化学・生物兵器関係の米軍部隊は沖繩から撤退するのか、撤退するとするならば、一体その時期はいつか、御答弁を願いたい。
 これらの諸点は、政府がアメリカに毒ガスの撤去を要求する姿勢を持っているならば、当然にたださなければならぬ諸点であります。明快な答弁を要求いたします。(拍手)
 化学・生物兵器の絶滅は、文明社会を悪魔の手に売り渡さないための出発点であります。わが国は情熱を持ってこれに取り組まなければならないと考えます。一九二五年の毒ガスと細菌兵器の戦時使用禁止に関するジュネーブ議定書を、わが国はまだ批准しておりません。一九六六年十二月五日並びに一九六八年十二月二十日の国連総会決議は、ジュネーブ議定書にすべての国が加入するよう勧誘の内容を持つものでありますが、政府はこれに賛成をいたしておるのであります。したがって、生物・化学兵器の絶滅に対するわが国の発言が国際的に評価せられるためには、まず、ジュネーブ議定書の批准をすべきであります。総理の見解を伺いたい。(拍手)
 七月十日、イギリスがジュネーブ軍縮会議に提案をいたしました生物戦争に関する条約案については、これはこれとして成立するよう努力すべきであります。総理は一体どう考えるか、御答弁を願いたい。
 さらに七月三日、わが朝海代表は、ジュネーブ軍縮委員会において、化学・生物兵器の開発、製造を禁止し、在庫を破棄せよと演説をいたしました。この演説によって、単に国際世論に訴えるというばく然たる態度から一歩を進めて、総理はこの内容を盛り込んだ条約案を作成し、軍縮委員会等へ提案する意思はあるのかないのか、伺いたいのであります。
 佐藤総理、あなたは国民の命を守る最高責任者です。この責任の重大さを真剣に自覚して、いま毒ガス、細菌兵器の恐怖にさらされている国民の不安を解消するために、明快な見解の披瀝を求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 永末君にお答えいたします。
 わが国の国防の基本方針は、あらためて申すまでもなく、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することであります。他国に脅威を与えるような軍備は持たないことを明らかにしております。したがって、その姿勢が、永末君の言われる新しい表現である専守防御ということばでぴったりと言いあらわせるかどうか、私にはわかりませんが、少なくとも戦略守勢であることは間違いないところであり、その足らざるところを日米安保条約によって補うものと、かように申し上げておきます。
 次に、化学・生物兵器に対する政府の基本姿勢、これはすでに先ほど楢崎君にお答えしたとおりであります。この種の兵器が日本本土に持ち込まれないという確証はあるかとのお尋ねでありますが、この点は、すでに米国政府の言明しているとおり、政府は、現在持ち込まれていないし、将来持ち込まれる可能もないことを確信しております。しかし、これはまことに大事なことでありますから、先ほども楢崎君にお答えいたしましたように、この上とも国民の安全確保の観点からこの点にぬかりのないように、政府は万全を尽くすつもりでございます。
 次に、致死性の化学・生物兵器は本土に持ち込まれている事実はなく、また、米政府は将来ともこれを日本に貯蔵する計画はないと言明しておりますから、これについての訓練もないものと、かように考えております。ただ、在日米軍は、ヘビの毒の研究とか、あるいは風土病の研究とか、食品、水質検査等は行なっておりますが、これらの点について規制を申し入れる考えはございません。
 沖繩につきましては、先般の国防省発表を妥当なものとして歓迎している次第であります。もちろん、この点も、施政権はアメリカにありましても、住んでいるわれわれの同胞沖繩県民の安寧、またその健康保持のために、本土政府はもちろんこれを等閑視しているものではございません。これも申し上げておきます。
 生物・化学兵器の禁止問題は、広く人道上の見地からも、国際的な合意が必要であります。したがって、政府としては、軍縮委員会の討議に期待をかけているところであり、ただいまのところ、日米間だけで特別な条約を結ぶことは考えておりません。
 次に、地位協定を改定し、貸与目的を明確にし、返還の権利を明記するか、こういうお尋ねでありますが、沖繩返還にあたっては、安保条約及びその関連取りきめがそのまま適用されることを政府としては望んでおります。米国に提供している施設、区域は、必要でなくなった場合は、いつでも日本側に返還されることを、また、さようにされており、米側は、施設、区域の必要性を絶えず検討することに同意をしております。したがって、条約や協定の改定は、ただいまのところ考えておりません。
 次に、ジュネーブ議定書は、新しい角度から検討されるべきであると、かように考えております。その意味から、英国の生物兵器の禁止についての条約案を含め、前向きで軍縮委員会での討議に参加する考えであります。
 次に、化学・生物兵器が、大量破壊兵器として使用される可能性があるところから、その禁止を検討すべきであるというのが、朝海代表の発言内容であります。しかし、これを骨子として新しい条約案を提案する意思ありや、こういうお尋ねでありますが、さような条約案を提案するかどうかは、今後の検討の課題であると、かように考えております。問題は、核兵器に次ぐ殺傷能力を持つと見られる化学・細菌兵器を、国際的な話し合いを通じて規制していかなければならないことは、人道上の見地から見ましても当然であります。また、この種兵器の生産禁止の憲章、これは核兵器の場合よりも困難でありますが、忍耐強く話し合いを積み重ねて、合意に達しなければならないと決意している次第であります。
 その他の問題につきましては、それぞれの大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
○国務大臣(愛知揆一君) お答え申し上げます。
 今回の沖繩における毒ガス事件につきましては、七月十八日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道で政府はこれを発見いたしたわけでございますので、直ちに米側に対しまして事件の真相の究明を求めるとともに、沖繩に大量殺戮的な化学兵器が配備されておるとするならば、これをすみやかに撤去するように申し入れた次第でございます。この申し入れ、あるいは真相の究明は、ただいままでのところでも、十八日、二十日、二十一日、二十二日と、かように連続して行なっております。そのつどにおける先方の回答等は省略いたしますけれども、一番最近の先方からの回答の要旨を申し上げますと、次のとおりでございます。七月二十三日午前零時、ワシントンでロジャーズ国務長官が在米下田大使に対し、またほぼ同時刻、駐日アメリカ大使館から外務省に対しましてございました通報でございます。
 要旨だけを申し上げますが、有毒ガスを含む化学兵器を沖繩から撤去すべく準備が進行中である。それから、七月八日において起こった事件は、米陸軍兵士二十三名並びに軍属一名が短時間化学剤GBに触れたということがございます。また、その事件は、第二百六十七化学中隊における通常の保管、維持、補修作業中に発生したものである。それから本事件の結果、沖繩からの致死性化学剤撤去を早める決定があらためてなされ、軍関係者は撤去計画をつくりつつある。なお、今後における沖繩在住者に対しては、十二分の安全措置を講ずるというようなことが、一番最近までに来ておりまする米側の態度であり、回答でございます。
 先ほどお尋ねのございました数点の具体的な点については、ただいま申し上げました中で触れられておることもあり、また触れられていないところもございますが、先ほど総理からもお答えいたしましたように、政府といたしましては、非常に重大な問題でございます、また、沖繩の県民の方々に一刻もすみやかに心から御安心を願いたい、かような考え方で、引き続き本件につきまして米側と接触を続け、十分注視しながら善処いたしてまいりたい、かような態度でおる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(藤枝泉介君) 次に、渡部一郎君提出、米軍の沖繩におけるVX毒ガス事件ならびに岐阜におけるミサイル事故に関する緊急質問を許可いたします。渡部一郎君。
    〔渡部一郎君登壇〕
○渡部一郎君 私は、公明党を代表いたしまして、先日沖繩の米軍基地において発生いたしました毒ガス問題などにつきまして、佐藤総理及び関係大臣に緊急質問をいたすものであります。
 政府は、毒ガスを含む化学兵器及び生物兵器に対してどう考えておられるか。これに対しては、これらの残忍非道の兵器というものは、人類に対する許しがたき犯罪であり、人間性の否定としか考えられないものであります。従来、わが国民は、このような兵器を、平和憲法のもとに両立させることはとうてい不可能なものであり、わが国に保有されることもないと考えられておったわけであります。しかるに、これらの兵器に対する政府の所見はどのようなものでありましょうか。沖繩におけるこれら兵器の存在というものは、日本国民に大きな衝撃を与えたのであります。これらのCB兵器は、つくらず、持たず、持ち込まさずと言われた例の非核三原則以上のきびしい原則が、これに対して確立せらるべきであると思いますが、この点をどう考えられますか。CB兵器の使用は、国際条約においても明記されておりますとおり、国際法の一部としてその使用禁止が確定しているのでありますから、日本においては、さらに進んで研究、製造、貯蔵、使用を禁止する方針を世界に向かって宣明すべきであると思いますが、この点はどう考えられるか伺いたいと存じます。(拍手)
 ここで、われわれが全く納得できないことは、わが日本政府が一九二九年のジュネーブ議定書を調印しないことであります。戦争における窒息性、毒性またはその他のガス及び細菌学的戦争方法の使用禁止をきめたジュネーブ議定書に参加しないのはアメリカと日本のみであります。戦後の日本が、平和憲法を持ちながらこの議定書に参加しないのは一体なぜでありましょうか。米国がこの議定書に加入していない、そのために追随して加入しないというのでありましょうか。当時の日本政府の事情があったと、外務大臣は先ほど弁明をされたわけでありますが、少なくとも、戦後二十数年間にわたって続いてきた自民党政府の責任はどう考えられるのでありましょうか。米軍のガス兵器を認めるために批准、加入をためらったというしかないのであります。同議定書に対する加入の門戸は大きく開いているわけでありますから、いまからでも加入は全くおそくはない。この点どう判断され、どう対処せられるか、明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 ウ・タント国連事務総長は、国連総会決議に基づき、化学・生物兵器白書を発表し、次のように述べました。
 CB兵器の被害は核兵器に劣らぬ脅威的なものであって、その結果は戦闘員のみにとどまらず、平和的住民にも無差別かつ無限大に被害を及ぼすものであって、人道上許すべからざる最悪の兵器であると。これに対して政府はどのような考えを持っておられるか伺いたい。もし良識の持ち主であるならば、このCB兵器の禁止のために一体何を実際的に処置せられるのか伺いたいと存ずるのであります。(拍手)
 最近軍縮委員会に提出されたイギリスの生物兵器禁止案に対して、またどういう態度をとるつもりか伺いたいと存じます。
 この提案は、毒ガスを含む化学兵器の使用については言及していないのでありまして、まさに重大な欠陥を含んでいると言うべきでありましょう。仄聞するところによりますと、イギリスは、現在アメリカがベトナムで化学兵器を使用しておりますために、故意にこれを条約案から落としたといわれておりますが、われわれとしては、日本政府が同様の卑屈な態度をとることに断固反対するものであります。
 次に、日米安保条約改定交渉において、CB兵器について協議が行なわれたかどうか。政府の言明によれば、例によって例のごとく、アメリカの善意を信頼して、事前協議の対象にすら取り入れる取りきめさえせず、日本本土をCB兵器に対して野放しにしたということは何たる失敗でありましょうか。政府は、歴代自民党政府の重大なる失敗に対して、国民に対して深く謝罪すべきであると思いますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 次に、われわれは日本にCB兵器が配置されているのではないかという疑惑を払いのけることができないのであります。一体、日本国内にこれら兵器の研究、製造、配置が行なわれているかどうか、これまでに確めてみたことがあったかどうか、今回の事件であわててアメリカに照会してみたのではなかったのか。報道されておりますとおり、相模原にある四百六細菌部隊というアメリカの部隊は、すでに生物兵器の基礎研究を行なっていることは著明な事実であります。外務大臣の御答弁によりましても、同部隊が生物学的研究を行なっていることを否定できなかったのであります。このような部隊の存在と活動をなぜ点検することなく放置せられておるのでありましょうか。
 一九六九年五月号、米雑誌ランパーツによれば、わが国にもガス兵器が配備されていることを述べております。われわれとしては、むしろこれが常識ではないかと思うのであります。しかし、米軍当局の言明によれば、日本国内には貯蔵されていないとのことでありますが、政府は天真らんまんにも、一方的な話をそのままうのみにしようとされるのでありましょうか。早急に査察をし、そしてその事実に基づいて撤去を要請すべきでありますが、政府は、これを実施される勇気があるかどうか。再びアメリカは信頼すべきであるというような弁明で糊塗せられようとされているのか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 国民の生命、国民の財産の保護の任に当たることは政府の最大の責任であります。今日のような投げやり的な、放任的な態度であっていいものであろうかどうか。私は、岐阜におけるミサイルの落下紛失事件に対する態度といい、政府はその責任の重大さを、いまやしみじみと自覚せらるべきであろうと思うのであります。岩国基地所属の米F4Bファントムが、岐阜上空においてスパロー3型ミサイルを落っことしてしまったことにつき、政府はどう考えておられるでありましょうか。平時都市上空の武装機通過を禁止するのを最低米軍に対して要求するのが当然であろうかと思うのでありますが、どうお考えでありましょうか。(拍手)
 次に、総理はCB兵器は極東の安全を維持する上で必要だと思われるかどうか、抑止兵器として有用であるとお考えになっているかどうか、重ねてお伺いしたいのであります。と申しますのは、参議院本会議の答弁におきまして、極東の安全を考えながらCB兵器の撤去要請を考えるというような意味合いの御答弁をなさいまして、私たちは、極東の安全を考える以上、早急の撤去を考えるというふうに総理がおっしゃったのではないかと疑っておるのであります。この点、細菌戦争、毒ガス戦争をもって敵を倒さんとすれば、報復としてわが愛すべき本土を病菌と毒ガスの荒れ狂う阿鼻叫喚のちまたにすることを覚悟しなければならないのであり、それは民族の絶滅を意味するのであります。まさに、CB兵器は核兵器以上の人類みな殺しの兵器であることを深く認識すべきでありましょう。そうして、これはジェノサイドを禁止した国際条約違反の兵器であると思うのであります。よもやアメリカの化学兵器と細菌兵器の抑止力のかさの下に日本政府は安全を維持するなどとは言わないとは思いますが、念のため政府の所見を重ねて伺いたいと存じます。(拍手)
 次に、一九六八年八月二十五日付ニューヨーク・タイムズによれば、現在十五カ国が何らかの形でBC兵器の開発研究を行なっていると言われております。アメリカ、ソ連、イギリス、カナダ、中国、台湾、フランス、西ドイツ、ポーランド、スウェーデン、スペイン、エジプト、キューバ、イスラエルであります。政府はこれらの国に対して研究開発、貯蔵を中止し、あわせてCB兵器の禁止条約の作成について呼びかける決意はないかどうか。もし、政府が、このBC兵器をおそろしいみな殺し無差別の兵器であり、非人道的兵器であることを認識されるならば、直ちに軍縮委員会のみに依存せず、みずからのイニシアチブによってこの兵器の禁止を全世界に向かって呼びかけるべきであると思いますが、この点はいかがでありましょうか。(拍手)
 また、沖繩県民を代表し、屋良琉球政府主席は、このニュースに接して、沖繩は世界最悪の基地だと、悲痛な訴えをいたしました。政府はまたしてもCB兵器で沖繩を見殺しにしようとしたとの非難に、政府はどう答えるのでありましょうか。
 アメリカ当局は、きのう、ごうごうたる世界世論の反撃をかわすためか、沖繩におけるGBガス兵器の撤去を行なうと言明しました。しかし、依然として、いつ撤去されるかという日時も方法も明確ではありません。これに対して十分なる確約を取りつけるべきであると思いますが、政府の御見解を承りたい。
 その上、米政府は、この毒ガス兵器の展開はケネディ時代のものであり、現ニクソン政権は関係がないと弁明をされ、かつ、GBガス兵器というものは、VX神経ガスの十分の一くらいしか能力のない弱いガスであり、それを撤去するのだと弁明されました。公明党は、沖繩、本土からのガス兵器の撤去について、米当局の決断を高く評価するのでありますが、依然として重大なる疑惑を払いのけることはできない。それは、まず生物兵器については一言も触れていないことであります。日本や沖繩に生物兵器はあるのかないのか、伺いたいのであります。
 また、GB兵器のみの撤去では全く安心できないということであります。一九六五年三月、南ベトナムにいたAP記者ピーター・アーネットは、アメリカ軍が毒ガス戦を試みている事実をスクープし、米当局はこれを認めました。そして、その際米当局は、使用ガスは非致死性であり、DM、すなわちアダムサイト、CN、すなわちクロルアセトフェノン、CS、すなわちクロルベンジルマロノニトリルであることを明らかにいたしました。ところが、この非致死性とは名ばかりでありまして、DMは砒素、塩素系の化合物であり、一立方メートルの中に三十グラムありますと人間の半数を殺すといわれております。CNのほうは一立方メートルの中に十一グラムの濃度がありますと、人間の半分が死ぬ。CSは一立方メートルの中にたった二十ミリグラムをこえると窒息死するという報告もあります。いずれも、米軍でさえも、相手に死者が出てもかまわないという状況によってのみ使用することと、注意しているのでありまして、このような兵器を、非致死性という名前のもとに沖繩及び日本に容認することは断固許されないことであります。これらの兵器があるかないか。政府はその重大な疑惑に対してどう対処されるのか。
 また、BZという無能力ガスは、すでに南ベトナムにおいて使用されているという事実が報道されております。また、第一次大戦において使用されたイペリットという悪名高いびらん性ガスは、H3という名前で米陸軍の正式兵器であり、これもまた非致死性ガスであります。これらのガス兵器は、ことごとく人間生命の存在を遮断する悪魔の兵器であります。それを非致死性というような名前によるごまかしに乗って、米側の弁明をまるのみにするというのは非科学的、非論理的、非理性的、そして対米隷属的というしかないのであり、私は深い怒りを表明せざるを得ないのであります。ジュネーブ議定書において禁止されているのは、非致死性とか致死性とか、そういったことばを問わず、化学兵器、細菌兵器はすべてであることを知らなければならないのであります。ジュネーブ議定書の精神を重んずるならば、なぜこのような非致死性ガスについてはよいというような米政府側の詭弁に同調されるか、私は、強い不満を持って御質問したいのであります。
 次は、日本本土及びアメリカにおいては、国際法上において、CB兵器の存在を認めることはできない国際法上の義務を負っているということを指摘したいと存じます。
 それは、一九〇七年のいわゆるヘーグ条約「陸戦ノ法規慣例二関スル条約」第二節「陸戦」の前文には次のように書かれております。すなわち「一層完備シタル戦争法規ニ関スル法典ノ制定セラルルニ至ル迄ハ、締約国ハ、其ノ採用シタル条規ニ合マレサル場合ニ於テモ、人民及交戦者カ依然文明国ノ間ニ存在スル慣習、人道ノ法則及公共良心ノ要求ヨリ生スル国際法ノ原則ノ保護及支配ノ下ニ立ツコトヲ確認スルヲ以テ適当ト認ム。」ここには回りくどい言い方ではありますけれども、常時使われなかった兵器、やがてあらわれる一そう残虐な兵器に関しては、人道の法則に基づいて、良心の欲求に基づいて、国際法の慣例に従うことを明らかにしているのであります。したがって、毒ガスを主体とする化学兵器、生物兵器、核兵器の三つは、人類の良心の上に立って徹底的に禁止せられるべきものであります。(拍手)ヘーグ条約に加盟したわが国において、これらCB兵器の全面撤去の義務を負うことは国際法上も明らかであります。したがって、日本政府及びアメリカ政府は、沖繩にGBガス兵器を置いていたということが世界人類に対する重大なる背信行為をおかしているということを認識しなければならないのであります。沖繩に潜在主権を保持しているわが日本の国民は、施政権がないからアメリカに抗議ができないというような、そのような妙な弁解をするのではなく、アメリカ政府に対して、日本国民は国際法の立場により、悪魔に対するがごとく、ごう然と抗議してしかるべきものであります。(拍手)ところが日本政府は、アメリカに対して一回もまともに抗議することは、どうやらなかったようであります。調査あるいは問い合わせ、あるいは哀願というようなものはあったようでありますけれども、そのような正式な抗議は行なわなかったとは何たる醜態でありましょうか。政府の重大な責任というものであります。
 なぜアメリカにまともに抗議ができないのか。なぜ沖繩の県民をこのような危険にさらしていたのか。なぜ国際法に違反するアメリカのガス兵器に対して、主権国家であるわが日本がき然たる要請をしないのか。私は日本政府のかねてより続いておるその対米隷属の姿勢に対して、日本国民の名において深く反省を求め、私の質問といたすものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) これまでの質疑を通じましてお答えしたとおり、化学・生物兵器の使用を禁止するとともに、さらに、その開発及び製造を禁止し、在庫をも破棄すべきだというのが政府の基本的態度であります。このことは憲法の精神に照らすまでもなく、人道上の見地から判断できる問題であります。ウ・タント国連事務総長の提案につきましては、私も基本的にはその趣旨に賛成であります。今後軍縮委員会を中心に検討されるもの、かように考えております。
 次に、一九二五年のジュネーブ議定書は、その後の科学の発達によって、生物及び化学兵器のすべてをカバーできなくなっている点もあるので、新しい角度から再検討されなければならないと考えます。先般英国が生物兵器の禁止についての条約案を出したのもその一つのあらわれであります。わが国といたしましては、朝海代表の発言に見られるとおり、さらにこれを一歩進めて、生物兵器だけでなく化学兵器をも含めて、この種兵器の使用の可能性を除去したい、かように考えている次第であります。
 次に、生物・化学兵器のいわゆる三原則の問題につきましては、先ほど社会党の楢崎君にお答えしたとおり、わが国がせっかく軍縮委員会に参加したのでありますから、この軍縮委員会の舞台を通じて、国際的に禁止への同一歩調をとるよう努力することのほうが肝心だ、かように考えるものであります。
 御承知のとおり、ジェネーブ議定書の作成は一九二五年、すなわち大正十四年であります。わが国は当時すでに一八九九年のヘーグ毒ガス使用禁止宣言及び一九〇七年のヘーグ陸戦法規慣例条約の締約国になっていたので、本議定書の締約国にはならなかったものと考えます。先ほど来申し上げているように、この問題は、今後ジェネーブ軍縮委員会の中心議題になるものと思われますので、英国の生物兵器禁止案をも含めて、積極的に討議に参加し、国際的なコンセンサスを得るよう努力するつもりであります。
 一九六〇年の安保改定交渉におきましては、特に生物・化学兵器についての話し合いは行なっておりません。これが非常な落ち度である、かように御指摘がありましたが、米国政府は、日本本土にはいかなる種類の致死性生物・化学兵器も持ち込んでいないし、また今後も持ち込む意思のないことを明らかにしておりますので、この点に関する懸念はないもの、かように考えております。この点は、先ほど楢崎君や永末議員にお答えしたとおりであります。
 次に、BC兵器を事前協議の対象とすべきではないかというお尋ねでありますが、生物・化学兵器は日米安保条約の対象とはなっておりません。しかしこの問題について、米国と新しい取りきめをすべきだとの御意見でありますが、この問題は、日米間の問題にとどまらず、世界全体の問題でありますから、軍縮委員会の推移を見守りながら、さらに慎重に検討したい、かように考えております。(「同じじゃないか」と呼ぶ者あり)先ほどお答えしたとおりであります。
 米国は、レアード国防長官の要請に基づきまして、ニクソン大統領がことしの春、化学及び生物兵器の総合的検討を、その国外配備の点も含めて行なうよう、国家安全保障会議に対し命令を発したことは、すでに公表済みであります。したがって、沖繩からの致死性化学剤の撤去は、すでに検討されていたところでありますが、今度の事件によりまして、それが一そう早められる結果になったものと推測されます。
 いずれにいたしましても、沖繩が一日も早く日本に復帰することが先決である、かように思いますので、私は一段と早期復帰への決意を固める次第であります。何とぞ御支援、御協力のほど、お願いをいたします。
 また、CBR兵器、これが極東の安全、あるいは戦争の抑止力になるのか、こういう点を重ねてお尋ねがありましたが、先ほど楢崎君に声を大にしてお答えをいたしましたので、省略させていただきます。
 次に、米ソ二大国をはじめ、世界の主要国が、第二次大戦後も引き続き生物・化学兵器の研究、開発を行なっていることは、世界周知の事実であります。政府としては、米国のみならず、すでにこれらの兵器を所有している世界のすべての国が、歩調をそろえてその使用をやめ、かつ廃棄に踏み切ることを念願しているのであります。御指摘のように、米国はわれわれの最も信頼する友邦でありますから、特にこの問題につきましても、連絡を密にして話し合いを行ないますが、要は、日米だけの問題でなく、軍縮委員会の舞台で各国が共同歩調をとることが肝心ではないか、かように考えております。
 次に、ベトナム戦争でどのような化学・生物兵器が使用されているかにつきましては、政府は何ら関知しておりませんが、先ほども申し述べたとおり、米国の国家安全保障会議の決定もあったことであり、加えてベトナム戦争も終息の段階に向かいつつあるところでありますから、必ず妥当な措置がとられるもの、かように確信しております。
 以上で私のお答えを終わることにいたします。その他具体的な問題等につきましては、なお外務大臣等から補足される点があろうかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
○国務大臣(愛知揆一君) 簡単に補足いたしてお答えいたします。
 一九二五年のジュネーブ議定書についてのお尋ねのお答えが残っておると思いますが、御指摘のように、この議定書におきましては「窒息性、毒性又はそのガス及びすべての類似の液体、材料又は考案」とだけしか規定してございませんから、御指摘のとおり、致死性、非致死性という問題には、この議定書は触れておりません。そこで、いろいろの解釈があるようでございますが、通説としては、この議定書の文言の中に「戦争に使用することを禁止する」こういう規定が入っておりますので、この趣旨から見まして、条理上からいえば、致死性のガスを禁止する、こういう趣旨に解するのが妥当であろうというのが通説のようでございます。しかし、従来の通説は通説といたしまして、ただいま総理からもお話がございましたように、すでに軍縮委員会におきましても非常に大きな問題となり、また各国が意欲的な検討もいたしておりますので、国際的な合意を求め得るようか、また科学的で実行可能なような解釈あるいは規定というものを新たにつくることができ得るならば最も望ましいのではなかろうかと、かように政府としては考えておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣床次徳二君登壇〕
○国務大臣(床次徳二君) 私に対するお尋ねは、沖繩においてガス兵器が配置されていることを知っているかどうか、その後の処置はどうかということと思いますが、沖繩にガス兵器が配置されていたことも、またガス兵器によるところの事故が発生いたしました事実も、事前には承知していなかったことでございます。アメリカの新聞の発表によりまして、その後外務省におきまして折衝いたしましたことにつきましては、御承知のとおりでございますが、米国防省が沖繩の毒ガス兵器を撤去することを発表いたしましたことは、県民の脅威を除去することになりまして、適切な措置であると存じまして歓迎しておる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣有田喜一君登壇〕
○国務大臣(有田喜一君) 米海軍機が岐阜県下におきましてミサイルを誤って落としたことにつきましては、先ほど楢崎議員にお答えしたとおりでありますが、ただ一点、なぜあれを武装しておったかということであります。これは米軍に問いただしましたところ、武装をしておって、そのとき岩国から三沢までにどのくらいの燃料が要るだろうか、また武装した場合の時間はどのくらいかかるだろうか、そういうようなことを目的としてやっておったようであります。
 その他の点につきましては、重複を避けまして、お答えといたします。(拍手)





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